物が売れない時代だからこそブランディングを                

               

By佐藤 祐一

2018年 5月 28日                                

こんにちは、ECサポート事業部です。

突然ですが、「ブランディングとは何ですか」と聞かれ、
みなさんはなんと答えるでしょうか?

ロゴ? 商品ネーミング? キャッチコピー?認知度?製品デザイン? ブランドイメージ?商標?

ブランディングという言葉は有形・無形の複合的な価値概念であるため、人によって解釈や
理解が違うことも多く、しっかりと説明できる方は意外に少ないのではないでしょうか。

ブランディングとは「自社商品やサービスについて 顧客に共通の絵(イメージ)を認識させること」
つまり、より多くの人にポジティブな感情移入をしてもらい、良質な絵(イメージ)を形成していく活動になります。

効果的なブランディング活動を行うには戦略と戦術が重要になります。
戦略とはビジネスの方向性を決めること、戦術とは決めた方向性に対して
ビジネスを推進させることです。

ロゴやネーミング等、これら要素はブランディング手法の一部になり、戦術にあたります。
まずは企業としてのブランディング戦略をしっかりと策定する必要があり、その戦略を
加速させるために前述した戦術群があります。

今回は

①ブランド&ブランディングの定義
②ブランド戦略とは
③ブランディングがもたらすメリット
④ブランディング戦略構築プロセス

についてお話したいと思います。

 

ブランド&ブランディングの定義

ブランドとは

「別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから
差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの。

引用元:American Marketing Association

アメリカ・マーケティング協会(AMA)の言葉になりますが、少々分かりづらいと思います。
一言でに言うと「顧客が一発でわかる他社との明確な違い」。

自社商品やサービスを顧客に想起させること、つまり顧客がブランド名を聞いたときに
ぱっと自社商品やサービスが絵(イメージ)として頭に浮かぶかどうかになります。
ブランドは消費者の購入意思決定において大きな要素を占めます。

そして、ブランドがもたらす価値は顧客だけでなく、従業員、株主の三者にとって
価値あるものになります。

ブランディングとは

「ブランディングとは、製品やサービスにブランドの力を付加することである。」

引用元:Kotler & Keller

数々のマーケティング理論を提唱してきたフィリップ・コトラー氏の言葉でありますが、
ブランディングとは「自社商品やサービスについて 顧客に共通の絵(イメージ)を認識させること」。

企業が顧客に想起してもらいたい絵(イメージ)と顧客が想起する絵を
共通の絵(イメージ)として認識させるべく、推進していく活動になります。

ブランドに対する共感や信頼、安心感、特別感などよりポジティブな感情移入をしてもらい、
その人にとって唯一無二の価値にすべく、形成していくプロセスになります。

マーケティングは先天的な素材で勝負、商品の価値とは切り離されているという認識ですが、
ブランディングは後天的な魅力を育てる、商品の価値をあげることができる一活動という認識になります。

 

ブランド戦略とは

ブランド戦略において重要な要素はコンセプト、ペルソナによるターゲット設定、ポジショニングになります。
これら戦略要素を固めずに戦術手法に走っても、効果的なブランディング活動を行っていくことは難しいでしょう。

コンセプト

自社商品が持つ独自の強みや提供価値などをブランドコンセプトとして策定します。
企業側が顧客に対して自社商品から連想してほしい絵(イメージ)である
「ブランドアイデンティティ」など。(製品、組織文化、人格、シンボル等の設定)

ペルソナによるターゲット設定

ペルソナとは自社商品&サービスの典型的なターゲットとなる顧客像のことです。
ターゲット設定と同じではないかとお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、
下記のように設定粒度が異なります。

ターゲット設定の場合

「20代女性 会社員 営業職 」などある程度の幅をもたせた設定をします。

 ペルソナによるターゲット設定の場合

具体的かつより詳細にターゲットを絞り込みしたうえで、ストーリーを設定します。

  • 年齢
  • 性別
  • 居住地
  • 学歴
  • 仕事
  • 収入
  • 恋人・配偶者の有無、家族構成
  • ライススタイル
  • 価値観、物の考え方
  • 人間関係
  • 趣味
  • 今興味のあること、挑戦したいこと
  • SNSの活用
  • インターネット利用状況 利用時間、所持しているデバイス

ペルソナによるターゲット設定をすることにより、見込み客の見極めや優良顧客獲得、
顧客生涯価値の向上、そして顧客目線でマーケティング施策等において意思決定ができるようになります。
また、明確な顧客像を決めておくことでプロジェクトメンバー同士での認識の
すり合わせが容易になるというメリットがあります。

ポジショニング

世の流れや業界構造といったマクロ環境(PEST分析)、自社&競合&顧客のミクロ環境(3c分析)、双方の
視点から分析し、考えていきます。そして細分化した市場における自社商品の提供価値や
立場などを決め、ブランドの特徴、役割を明確化した上で「どこで、何なら一番になれるか」を
徹底的に考え、そこで勝負することです。新しいカテゴリーを創出するのも一つの手段になります。

上記戦略要素をしっかりと固めた上で、戦術としていかに商品名、ロゴ、キャッチコピー、
VI(ビジュアルアイデンティティ)、その他要素に落とし込んで、ブランドアイデンティティを
どう伝達していくのか、設定したペルソナに対して商品を通じて提供できる機能的な価値、想起してもらいたい
感情的な価値等の両面からブランドエクスペリエンス(ブランド体験)を策定します。

併せてペルソナが商品やサービスを知り、最終的に購買するまでの動き(行動・思考・感情)のプロセスを
図式化したカスタマージャーニーマップを作成し、チャネルとタッチポイントの最適化を図り、
中長期的展望で顧客エンゲージメントを高め、顧客生涯価値の改善やファン化促進に繋げていく施策も重要になってきます。

 

また、ブランディングの効果や価値を測る基準として下記4つの価値があります。

ブランドロイヤリティ

顧客のブランドに対する愛着度
例:肉ならやっぱり松阪牛だ

ブランドネーム認知度

顧客にブランドの名前が浸透し、ポジティブなイメージを持たれること
例:スターバックスの新メニュー出たんだ、早速買ってみよう

知覚製品品質

顧客が感じているブランドの品質。そしてブランド比較時の識別性・優位性。
例:アップルの商品なら品質に間違いないだろう

ブランド連想

顧客がブランドに対して、抱く絵(イメージ)のすべて
例:ベンツ=高級車、成功者など

これらのブランド資産価値のことを「ブランド・エクイティ」と言います。
ブランドに対する顧客の潜在的なイメージが、企業にとっては重要な資産になるという考え方です。

ブランド・エクイティを洗練させ向上させていくことで、ブランディング施策やブランド価値を可視化し、
顧客の購入意思決定や信頼感、安心感、満足感を与え、広告コストの削減や競合との差別化を図れる等の
メリットが期待できます。

ブランディングがもたらす7つのメリット

企業がブランディングを推進し、ブランド力を高めることにより、中長期にわたりブランドによって
顧客を呼び込み、加えて顧客を離さない力、いわゆる「ファン化」することにより、企業としての
永続的な価値向上ならびに力を蓄えていくことが可能になります。

具体的に下記のようなメリットを享受できます。

  1.  同価格帯なら競合ではなく、自社商品が選ばれる
  2.  知名度向上による販路、販売拡大
  3.  価格競争に陥らず、高い価格でも買ってもらえる
  4.  リピート購入率向上による優良顧客の醸成
  5. マスやWEB媒体における広告宣伝費用の削減
  6.  他企業との業務提携によるビジネス機会の拡大
  7. 人材採用において、優秀な人材が集まりやすくなる

 

ブランディング戦略構築プロセス

ここまでブランディング戦略概要ならびにメリットをお伝えしてまいりましたが、
実際に進めていく上で、シンプルなフレームワークをご紹介させていただきます。

基本的には、なぜやる(WHY)→どうやる(HOW)→こうやる(WHAT)で考えていきます。

①なぜやる(WHY)

集客コスト減・売上増

  • 同価格なら自社商品が選ばれる
  • ロイヤル価格(高い価格)でも売れる
  • リピート率向上による利益率向上
  • バイラルメディアによる口コミ発生、知名度向上
  • 顧客とのエンゲージメントを高める(ファン化 / 顧客生涯価値向上)
  • 広告費削減

②どうやる(HOW)

ファンを獲得するために「何なら一番になれるか」を徹底的に考え、そこで勝負することです。
いわゆる選択と集中によるポジショニングです。そして強いブランドには必ず絵(イメージ)があります。
製品名+品質+絵(イメージ) = 唯一無二の哲学 = ブランドアイデンティティ(コンセプト)になります。
価値性、独自性、共感性の3軸から、ブランドの絵(イメージ) を炙りだしつつ、機能的価値と情緒的価値の
の定義へ落とし込んでいきます。

③こうやる(WHAT)

前述した絵(イメージ)がブランディングにおける最初のWHATになります。
WHATを並べると下記のようになります。

何を?

-どうすごいもの?
-どう思われているもの?

誰に?

-どんな属性の?
-どんな思いの人に?

どのように?

-今後どう思われたいですか?

どうすれば?

-そのために何をすればいいですか?

GOAL!
ブランディング戦略完成

あとがき

今回はブランディング概要についてざっくりとお話させていただきました。

「戦略なきは座して死を待つが如し」の言葉通り、企業としての一貫したブランディング戦略
ならびにブランディングという語句の定義、落とし込みがプロジェクトメンバー(社内外)に統一されていなければ、
なぜやる(WHY)→どうやる(HOW)→こうやる(WHAT)において個人差、温度差が生じます。

結果として、複数のブランディングの定義が乱立し、統一感のない散発的な手法や
取り組みの一体感にも影響し、ブランディングプロジェクトが頓挫、破綻するリスクは高まります。

それを防ぐために戦略ありきの戦術を策定、プロジェクトメンバーで共通認識、意思の疎通を図り
進めていくことが肝要です。

また、ブランディングの成否を判断するには中長期的な視点が必要不可欠です。
ブランドが正しい道を歩んでいるか、望むゴールに向かっているかを客観的に判断し、
評価した上で適切なコントロールをしていくことが大切になります。

ECサポート事業部ではブランディングに関するご相談も承っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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